対策③ 特定の地域に生息している野生の生物が、
 特定の地域に生息している野生の生物が、外来の種との交雑などによってその固有の特徴を失うことを「遺伝汚染」という。遺伝汚染が進めば、長年にわたる進化の過程で種が獲得してきた遺伝的特徴が損なわれるだけでなく、固有種自体の絶滅にもつながりかねない。
 遺伝汚染は、欧州では既に問題となっていた。19世紀以降、各国が日本からニホンジカを持ち込み、欧州原産のアカシカと一緒に飼育するうちに、固有種としてのアカシカが絶滅してしまったのである。
 逆に、日本の国鳥ニホンキジの場合、海外から渡来したコウライキジによって遺伝的特性が脅威にさらされている。コウライキジは首が白いのが特徴で、ニホンキジとの間に生まれた固体はその首の白さを受け継ぎ、ニホンキジとは外見が異なる。
 また、遺伝汚染は国内の同種間でも起こる可能性がある。同種でも、ホタルのように異なる環境で繁殖を続ければ、地域的特性を反映した進化を遂げ、行動様式や形態に遺伝子レベルの差異が生じる。そのように、自然界では明確に棲み分けていて交尾する可能性がないものでも、そこに人間の手が入れば話は別だ。人間の都合を先行すると自然界にダメージを与えかねない。

コメント

都わすれ
2020年12月6日13:08

いつも楽しく拝見させていただいております。
リンク有難うございました。
相互させていただきますね。よろしくお願いします(*^^*)