技② 俳句が世界中にその輪を広げている。
 俳句が世界中にその輪を広げている。五七五の十七文字という世界で最も短い詩形の俳句は、日本で生まれた文芸である。それが、現在では英語など70ほどの言語で詠まれていて、世界の俳句人口は400万人にも達するといわれる。
 昨年8月にイギリスで開かれたフェスティバルには、20の国から100人ほどの俳句作者や愛好家が集まった。開催国のイギリスでは、俳句が小学校の必須科目に取り入れられているそうだ。また、近時、俳句熱がとくに高いのがルーマニアで、「世界俳句大使」に指名されたのも、この国の12歳になる少女だった。俳句の先生になって世界中の人に句を作る楽しさを伝えるのが彼女の夢だという。
 地域紛争のために戦火に見舞われた子どもたちも俳句を作っている。その中には、悲しみや怒りの気持ちを俳句で表現していくうちに、句作に打ち込むようになり、笑顔を取り戻した子もいるという。彼らにとって、今や俳句は自分を表現するための大切な手段にもなっているそうだ。
 世界のあちこちで、子どもたちに夢と希望を与えている俳句。その様子を聞くと、発祥の地の人間としては、下手でもいいから一句ひねってみようかという気にさせられる。

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