ある休日、穏やかな天候に誘われて、
 ある休日、穏やかな天候に誘われて、近くの公園を訪ねた。中にセンターラインの引かれた舗道が縦横に延びる一角がある。交差点には、大小の信号機、横断歩道があり、どの信号もきちんと作動している。大小さまざまな自転車が行き交い、あちこちから子どもの歓声が聞こえる。そこは、子どもたちが安全に、しかも本物の道路を走る感覚で自転車に乗るのを楽しめる施設で、事務所で登録すれば、身の丈にあったサイズの自転車を無料で貸してくれる。
 早速、4歳の娘のために、補助輪付きの自転車を借りてきた。最初はこぎづらそうにしていたが、すぐに慣れて、調子よく走れるようになった。ハンドル操作もだんだん上手になり、狭い道も自由に進んでいく。小一時間楽しんで、家路についた。
 家に帰ってから、娘は「自転車に乗りたい」を連発した。ところが、わが家には子ども用の自転車がない。すると、娘は辺りにあった厚紙で「自転車」を作りあげてしまった。もちろん外を走れるような物ではないが、ペダルがちゃんと回るのには感心した。自分の力で自由に乗物を操ること、彼女はその喜びを体験したのだろう。そういう経験が物を作り出す原動力になるのだと気づかされた。

コメント