大根おろしも奥が深い！

　秋は秋刀魚の美味しい季節だ。秋刀魚といえば大根おろしがつきものだが、一口に大根おろしといっても、けっこう奥が深く、熟練を必要とするものだ。おろし器の種類や使い方、大根の特性を理解しておくことが大切だろう。
　おろし器には、銅製、ステンレス製、アルマイト製、プラスチック製などがあるが、どれが使い勝手がよいか、それぞれの特色を試した結果がある。銅製はずっしりと重く安定感があり、おろし器と大根の密着性がよいため大変おろしやすい。そのうえ、できあがった大根おろしは透明で、大根と汁が分離しない。したがって、銅製がもっとも適しているといえる。
　ところで、大根おろしの辛みは、おろし器や大根の部位、おろす速度などで違ってくる。そこで、一工夫すれば辛みを和らげ美味しくすることが可能となる。
　おろし器の目の粗いもの、細かいもの、およびミキサーを使って実験してみると、前述の順に辛みが増すが、その理由は、大根は組織が壊れれば壊れるほど辛みが強くなるからである。おろし器は目の粗いものを選びたい。
　また、遅い速度でおろすと辛みが緩慢になる。昔の人が「大根は怒っておろしてはいけない」と言ったのは正解だった。